東南アジアの食文化を語る上で欠かせないのが、魚醤(発酵魚調味料) です。
一見似ている
- ベトナムの ヌクマム
- カンボジアの プラホック
ですが、その性格はまったく異なります。
この違いは、味覚ではなく「文化の違い」 から生まれています。
まず結論|液体か、固体か
- ヌクマム:液体・透明・軽やか
- プラホック:固体・濃厚・強烈
この差が、料理の構造そのものを分けています。
ヌクマムとは?|ベトナムの“完成された調味液”
ベトナムのヌクマムは、
- 小魚+塩
- 長期発酵
- 上澄みだけを使用
する 澄んだ魚醤 です。
ヌクマムの特徴
- 香りはあるが尖らない
- 料理の下支え役
- 卓上で調整される前提
👉 食卓構造との関係は
なぜベトナムではスープと麺が一体なのか?その理由
と共通しています。
プラホックとは?|カンボジアの“発酵そのもの”
カンボジアのプラホックは、
- 淡水魚を丸ごと発酵
- 固形またはペースト状
- 強烈な香り
という 保存食そのもの です。
プラホックの役割
- 主菜の一部
- 料理の核
- 栄養源・タンパク源
👉 これは
タイ北部・東北部の発酵文化|イサーン料理に発酵が多い理由
とも非常に近い思想です。
なぜここまで違いが生まれたのか
① 地理と水環境
- ベトナム:海洋・沿岸
- カンボジア:内陸・トンレサップ湖
👉 内陸では
魚を“液体調味料”ではなく“保存食”にする必要(準備中)
がありました。
② 宗教と食の位置づけ
- ベトナム:仏教+儒教 → 食は調和
- カンボジア:上座部仏教 → 食は生命維持
👉 宗教と食の距離感は
なぜ東南アジアでは厳しい食のタブーが少ないのか?(準備中)
という構造と一致します。
③ 料理構造の違い
- ヌクマム:最後に“整える”
- プラホック:最初から“組み込む”
👉 この違いは
なぜタイ料理は「味を足して完成」なのか?
という考え方と比較すると分かりやすいです。
香りに対する許容度の違い
- ヌクマム:香りは抑制
- プラホック:香りは主張
これは
香り=不快か/力か
という文化認識の違いです。
👉 香り文化全体は
タイの香り文化|ハーブとスパイスはなぜ重要?
と合わせて読むと立体的になります。
観光客が感じる「臭い」の正体
プラホックが「臭い」と感じられるのは、
- 香りが未調整
- 発酵の途中段階を使う
- 食文化が前提知識を要求する
ためです。
これは欠点ではなく、発酵文化の成熟度の違い です。
まとめ|魚醤は「文化の保存方法」
- ヌクマム:調味文化
- プラホック:生存文化
どちらが上でも下でもなく、その土地が選んだ最適解 です。
魚醤を比べると、東南アジアの水・宗教・生活の違いがそのまま見えてきます。
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