フォーやブンなど、ベトナムの麺料理はスープと麺が最初から一体になって提供される。
日本では、麺料理とスープを別物として考える感覚もあるため、この構造を不思議に思う人も多い。
なぜ ベトナム では、スープと麺が一つの料理として自然に成立しているのだろうか。
そこには、食事の考え方そのものの違いがある。
「一皿で完結する」食事観
主菜・副菜という概念が弱い
ベトナムの食事では、日本のように主菜・副菜を明確に分ける意識が弱い。
一杯の料理で、栄養・満足感・水分補給までまとめて完結することが重視される。
スープも「料理の一部」
スープは添え物ではなく、料理の構成要素として最初から組み込まれている。
暑い気候が生んだ合理性
水分補給を食事で行う
高温多湿な環境では、食事と同時に水分をしっかり摂る必要がある。
スープ付きの麺料理は、その役割を自然に果たしていた。
体を内側から冷ましすぎない
冷たい水を大量に飲むより、温かいスープをゆっくり摂る方が体にやさしい。
この感覚が、スープ一体型料理を定着させた。
屋台文化との相性が抜群だった
一杯で提供できる効率性
屋台では、複数の皿を出すより、一杯で完結する料理の方が効率的だ。
- 調理が早い
- 提供が簡単
- 片付けも楽
スープ麺は、屋台文化と非常に相性が良かった。
食べる側も手軽
丼一杯で済むため、忙しい日常の中でもさっと食事を終えられる。
主食と汁物を分けない発想
米麺+スープ=主食
ベトナムでは、米麺そのものが主食であり、スープはその一部と考えられる。
ご飯+味噌汁のように分ける発想は必須ではなかった。
食べ進めるうちに味が完成する
麺・スープ・香草・酸味が食べる過程で混ざり合い、一杯の中で味が完成していく。
「途中で調整する」食べ方が前提
スープは固定された味ではない
フォーにライムを絞り、香草を足し、調味料で微調整する。
スープは、完成品ではなく調整前提のベースである。
一体だからこそ調整しやすい
スープと麺が分かれていないから、味の変化を一杯の中で楽しめる。
食事は「整える時間」でもある
栄養・水分・体調を同時に整える
一杯の麺料理で、
- 主食
- 具材
- スープ
をまとめて摂る。
これは、食事を「整える行為」と捉えるベトナム的な感覚を表している。
なぜ一体なのか(まとめ)
ベトナムでスープと麺が一体になった理由は、
- 一皿で完結する食事観
- 暑さに適した水分補給
- 屋台文化との相性
- 主食と汁物を分けない発想
- 味を途中で調整する文化
- 日常生活に合った効率性
といった要素が重なった結果である。
スープ麺は、料理というより生活のための合理的な食事なのである。
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