ベトナム料理は「あっさりして食べやすい」と言われることが多い。
油をたっぷり使う中華料理や、コクの強い東南アジア料理と比べても、軽く、胃にもたれにくい印象を持つ人は多いだろう。
ではなぜ、ベトナムでは、油を控えた、あっさりした料理が発展したのだろうか。
それは好みの問題ではなく、気候・生活環境・農業・食に対する考え方が重なって生まれた
必然的な食文化である。
暑さが「重い料理」を避けさせた
高温多湿では油が体に負担になる
ベトナムは一年を通して蒸し暑い地域が多い。
この環境では、脂肪分の多い料理は消化に時間がかかり、身体への負担が大きくなる。
油を控えた料理は、暑さの中でも食べやすく、体調を保ちやすい。
食後の快適さが重視された
食べたあとにだるくならないこと。
これは、暑い地域では非常に重要な要素だ。
その結果、軽く、すっと食べ終えられる料理が好まれるようになった。
「油を使わない調理法」が発達した
茹でる・蒸す・和えるが基本
ベトナム料理では、
- 茹でる
- 蒸す
- 生に近い状態で食べる
といった調理法が多用される。
これらは、油をほとんど使わずに素材の味を引き出す方法だ。
炒め物でも油は最小限
炒め料理であっても、日本や中国ほど大量の油は使われない。
あくまで、香りづけや加熱の補助として使われる程度である。
米文化が「あっさり志向」を強めた
主食が米=軽さが前提
ベトナムでは、米や米麺が主食として食生活の中心にある。
米はもともと、油や脂肪分を必要としない穀物だ。
米に合う料理が求められた
主食が軽いため、おかずも重すぎない方がバランスがよい。
この構造が、自然とあっさりした料理を増やしていった。
野菜と香草が油の役割を補っている
油の代わりに「香り」で満足感を出す
ベトナム料理では、油のコクの代わりに、
- 香草
- 柑橘の酸味
- 発酵調味料
を使って味に立体感を出す。
軽いのに物足りなくならない理由
あっさりしているのに満足感があるのは、香りと酸味が味覚を刺激しているからだ。
油に頼らず、別の要素で「美味しさ」を構成している。
日常食としての「食べやすさ」が最優先
毎日食べる前提の料理
ベトナム料理は、特別な日のごちそうよりも、日常で繰り返し食べる料理として発展してきた。
胃に優しいことが重要だった
毎日食べるなら、重い料理は続かない。
この現実的な感覚が、油を控えた料理を主流にした。
なぜあっさりしているのか(まとめ)
ベトナム料理があっさりしている理由は、
- 高温多湿な気候への適応
- 油を使わない調理法の発達
- 米を主食とする食文化
- 野菜・香草・酸味による味の構成
- 毎日食べる前提の実用性
といった要素が重なった結果である。
ベトナム料理の軽さは、「健康志向」ではなく「生活適応」の結果。
だからこそ、世界中で「食べ続けられる料理」として、受け入れられているのである。
