タイ料理と聞いて、「とにかく辛い」「激辛」というイメージを持つ人は多い。
実際、日本のタイ料理店でも「辛さレベル」が強調されることが多く、この印象はさらに強化されている。
しかし タイ の料理は、本当に「辛いだけ」の料理なのだろうか。
結論から言えば、これはかなり単純化された誤解である。
辛さが目立ちやすい理由
日本に入ってくる料理が偏っている
日本で知られているタイ料理は、
- トムヤムクン
- グリーンカレー
- ガパオ
など、比較的辛さが分かりやすい料理が中心だ。
そのため、「タイ料理=辛い」という印象が先行しやすくなっている。
辛さは説明しやすい要素
甘味や香りは伝えにくいが、辛さは数値化しやすい。
結果として、メディアやメニューでは辛さばかりが強調される。
実際のタイ料理は「味の重なり」でできている
辛さは主役ではなく一要素
タイ料理では、辛さは決して単独で成立しない。
必ず、
- 甘味
- 酸味
- 塩味
- 香り
と組み合わさって使われる。
辛さは「引き締め役」
唐辛子の辛さは、味全体をまとめるためのアクセントに近い存在だ。
辛さだけが前に出る料理は、本来のタイ料理ではない。
甘味があるから辛さが成立する
砂糖は隠し味ではない
タイ料理では、砂糖や甘味はごく普通に使われる。
これは辛さを和らげるためではなく、辛さを成立させるための甘味だ。
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甘辛の同時存在が前提
辛さと甘味が同時にあることで、味に奥行きが生まれる。
この構造を知らないと、辛さだけが強く感じられてしまう。
酸味と香りが辛さをコントロールする
ライムやタマリンドの役割
酸味は、口の中をリセットし、辛さの刺激を切る役割を持つ。
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ハーブが刺激を分散する
バジル、レモングラス、こぶみかんの葉。
これらの香りがあることで、辛さは「痛み」ではなく「風味」に変わる。
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本場では辛さは「調整するもの」
最初から激辛ではない
多くの料理は、最初から極端に辛く作られない。
食卓で、
- 唐辛子
- ナンプラー
- 酢
- 砂糖
を足して、自分の味に完成させる。
辛さを押しつけない文化
辛いのが苦手な人も、得意な人も、同じ料理を食べられる。
この柔軟さが、タイ料理の本質だ。
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なぜ「辛いだけ」と誤解されるのか(まとめ)
タイ料理が「辛いだけ」と誤解されがちな理由は、
- 日本で紹介される料理が偏っている
- 辛さが説明しやすく強調されやすい
- 味の構造が十分に知られていない
という情報側の問題が大きい。
実際のタイ料理は、
- 甘味
- 酸味
- 香り
- 辛さ
が同時に存在する立体的な味の設計でできている。
辛さは主役ではなく、全体をまとめるための一要素にすぎない。
