インドの結婚式料理は、「おいしい食事」+「宗教儀礼」+「象徴文化」が融合した、世界でも類を見ない文化です。
結婚式に参加した旅行者が驚く理由は、
- 甘い料理が異常に多い
- 儀式のたびに料理が出てくる
- 乳製品・ギー・ナッツが大量に使われる
- 菜食料理が圧倒的に多い
- 食事の断りは“無礼”にあたる
という、日本とはまったく異なる「食事観」があるためです。
本記事では インドの結婚式で振る舞われる料理の“意味”と“背景”を深く解説 していきます。
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インドの結婚式料理が特別な理由(総論)
インドの結婚式では、料理は単なる“食事”ではなく、
- 供物(プラサード)
- 祝祭の象徴
- 繁栄の祈り
- 家の名誉
- 地域文化の表現
として重要な位置を占めます。
特に「甘い料理」の多さはインド特有であり、外国人はここに最も驚くでしょう。
供物文化(プラサード)が結婚式料理の基盤
ヒンドゥー教では、神に捧げた食べ物(プラサード)を人々が分け合うことで 神の祝福を“直接取り込む” とされています。
→ 結婚式は神を迎える儀式
→ 必ず供物が必要
→ 食事=儀式の一部
これがインドの結婚式料理が特別な理由の“軸”です。
祝祭文化が“甘い料理”と結びついた
インドでは祝い事=甘いもの。
これは宗教、農耕、象徴文化すべてが背景となります。
農耕文化と気候が料理文化を形成
暑い気候では肉の保存が困難だったため、乳製品・ナッツ・ギー が安定した栄養源に。
これらは繁栄と富の象徴であり、結婚式で多用される理由になりました。
甘い料理が必ず出る理由(吉兆 × 供物 × 象徴)
インドの結婚式で最も重要な料理は 甘味 です。
甘味=幸福・繁栄・愛情の象徴
代表的な甘味:
- ラッドゥ
- ジャレビー
- ペダ
- ハルワ
- グラブジャムン
甘味は「甘い人生」「繁栄」「調和」を象徴し、結婚式では必須。
“神への供物”で最上位に扱われるのが甘味
ヒンドゥー教の供物(ナイヴェディヤム)は甘いものが最上位とされています。
理由:
- 神々に愛される食品
- 豊穣と富の象徴
- 保存性が高い
- 儀式の場で扱いやすい
→ 結婚式でも甘味は最重要アイテム。
農耕社会で甘味は“最上級のもてなし”だった
砂糖・乳製品・ナッツは高価で貴重だったため、大切な客には甘味を振る舞う文化が育ちました。
儀式ごとに“決まった料理”が存在する理由
インドの結婚式では、儀式ごとに異なる象徴食が提供されます。
ハルディ後の軽食|浄化と再生の象徴
ターメリックを塗った後は、軽いスナックやフルーツが出されます。
これは 浄化 → 再生 → 祝福 の流れを象徴。
サンギートの揚げ物文化|幸福を呼ぶ音
揚げ物は「ジュワッ」という音が魔除けと繁栄を呼ぶと信じられています。
代表:
- パコラ
- サモサ
- カチョリ
聖火儀礼後のご馳走|結婚成立を祝う食卓
儀式の核心であるファエラ後は、豪華なメイン料理が並びます。
- ビリヤニ
- パニール料理
- ターリー
- ナン/ロティ
- ラッサム/サンバル(南インド)
儀式の締めに必須の食文化です。
主食(米・小麦)が地域で変わる理由
インドは地域によって婚礼料理が大きく異なります。
北インド(小麦文化)
- ナン
- ロティ
- パニール
- クリーミーカレー
乾燥地帯のため、小麦が主食となっています。
南インド(米文化)
- レモンライス
- ココナッツライス
- サンバル
- ラッサム
稲作が盛んなため、米=繁栄の象徴でもあり儀礼食に多用。
東西インドの多様性
- ベンガル:魚が縁起物
- グジャラート:菜食&甘味多め
- マハーラーシュトラ:ココナッツ文化
多民族社会だからこそ多様な婚礼食が誕生。
乳製品・ギー・ナッツが多用される理由
インドの結婚式で圧倒的に使用されるのが
- ギー
- ミルク
- ヨーグルト
- カシューナッツ
- アーモンド
これらは“繁栄の象徴”です。
ギーは“聖なる食材”であり浄化の力がある
ギーには、炎と同じ浄化力がある とされ、儀式食には欠かせません。
ナッツは富と祝福の象徴
ナッツ類は高価であり、結婚=未来への祝福として供されます。
乳製品は“生命を支える聖なる食”
乳製品は神々の食物ともされ、供物としての格が高い。
結婚式における食事マナーとタブー
インドの結婚式での食事マナーは宗教と象徴文化に基づいています。
牛肉・豚肉が出ない理由
- ヒンドゥー教:牛は神聖
- イスラム教:豚が禁忌
→ そのため儀式食はほぼ菜食が基本。
右手で食べるのは“供物とのつながり”
右手=清浄
左手=不浄
右手で食べるのは 自らの手で神の祝福を受け取る儀式的行為。
食事を断るのは最大級の無礼
儀礼食は
- 家の名誉
- 神への供物
- 祝福を共有する行為
にあたるため、「いらない」は失礼に分類されます。
他国と比較してわかる、インド結婚式料理の特徴
日本(会席・形式美)
- 味より儀式性
- 量は少なめ
- 菜食文化は限定的
中国(大皿・縁起物中心)
- 豪華さはある
- 甘味文化は限定的
- 儀式性はインドほど強くない
インド(供物 × 象徴 × 甘味)
- 甘味が圧倒的
- 象徴性が高い
- 食事=儀式として扱われる
まとめ
インドの結婚式料理は、宗教・供物文化・象徴文化・農耕社会の価値観 が結びついた、世界的にも非常に奥深い食文化です。
- 甘味=繁栄・祝福
- 乳製品=神聖
- ギー=浄化
- 主食は地域で大きく変化
- 食事自体が儀式
という独自の食文化が、結婚式を華やかで神聖なイベントにしています。

