ベトナム料理を食べると、肉料理であっても、必ずと言っていいほど大量の野菜や香草が添えられていることに気づく。
フォー、生春巻き、揚げ物、炒め物。
どんな料理にも、生野菜や葉物が当たり前のように付いてくる。
なぜ ベトナム では、これほど野菜が多い食文化が発達したのだろうか。
それは健康志向ではなく、農業社会としての生活構造が生んだ必然である。
農業国だから野菜が「身近な食材」だった
肉より野菜の方が手に入りやすかった
ベトナムは長く農業を基盤とする社会だった。
多くの家庭では、
- 畑
- 家の周囲
- 市場
で、野菜を日常的に手に入れることができた。
一方、肉は頻繁に食べられる贅沢品ではなかった。
野菜中心の食卓が標準になった
その結果、野菜が主役、肉が補助という構成が自然と定着していった。
暑い気候が野菜食を後押しした
重い料理は体に負担になる
高温多湿な環境では、脂肪分の多い料理は体力を消耗しやすい。
水分と清涼感を補給できる
生野菜や香草は、
- 水分
- 清涼感
- 香り
を同時に補給できる。
暑さの中で食べやすい食材として、野菜は非常に合理的だった。
野菜は「料理の付け合わせ」ではない
野菜を加えて完成する料理
ベトナム料理では、野菜は後から添えられる副菜ではない。
料理に野菜を加えて初めて、味と食感のバランスが完成する。
食べ手が量を調整する
野菜の量は、食べる人が自由に調整する。
この柔軟さも、野菜多用文化を支えている。
香草文化と完全に連動している
野菜=栄養+香り
ベトナムで使われる野菜の多くは、単なる葉物ではなく、香草を兼ねている。
つまり、
- 食感
- 栄養
- 香り
を一度に補う存在だ。
油を使わない代替手段
油や肉のコクを野菜と香草で補う。
これが、ベトナム料理が軽く感じられる理由でもある。
シェア文化と野菜の相性
野菜は分け合いやすい
野菜は、取り分けやすく、量の調整もしやすい。
シェア前提の食卓では、非常に扱いやすい食材だった。
食卓全体のバランスを取る
肉だけでは偏る食卓を、野菜が中和する。
野菜は、場を整える役割も担っている。
「たくさん食べても罪悪感がない」
量を食べても重くならない
野菜中心の構成なら、量を食べても体に負担が少ない。
日常食として続けられる
毎日食べる料理だからこそ、「食べ続けられるかどうか」が重要だった。
野菜が多い構成は、この条件を満たしていた。
なぜ野菜が多いのか(まとめ)
ベトナム料理で野菜が多用される理由は、
- 農業社会で野菜が身近だった
- 肉が日常的ではなかった歴史
- 暑さに適した食材だった
- 香草文化との結びつき
- 油を使わない味づくり
- シェア前提の食卓構造
といった要素が重なった結果である。
ベトナム料理の野菜の多さは、健康ブームではなく、生活の合理性から生まれたものなのだ。
