タイ料理には炒め物や揚げ物が多い。
それにもかかわらず、日本人が現地で食べると「思ったより油っこくない」と感じることが多い。
実際、タイ料理は油を使う量自体は少なくない。
それでも軽く感じられるのは、調理法と味覚設計に理由がある。
ここでは、タイ料理が油っこく感じにくい背景を順に解説する。
高温多湿の気候が重たい料理を避けさせた
暑さの中では脂っこい料理が敬遠される
高温多湿の環境では、脂っこい料理は食欲を低下させやすい。
そのため、料理には重さを感じさせない工夫が必要だった。
軽く感じる味が求められた
タイ料理では、油を使っても後味を軽くする味付けが発達した。
結果として、油を使っても重く感じない料理文化が形成された。
強火・短時間調理が油の重さを抑える
一気に仕上げる炒め技術
タイの炒め物は、強火で一気に仕上げることが多い。
長時間油に食材を浸さないため、油を吸い込みにくい。
食材の水分を活かした調理
野菜やハーブを多用するため、調理中に水分が出て油が軽減される。
この調理方法が、料理を軽く感じさせる要因になっている。
酸味とハーブが油の重さを打ち消す
酸味が口の中をリセットする
ライムやタマリンドなどの酸味は、口の中の油分を洗い流す感覚を与える。
そのため、油を使った料理でも後味が重く残らない。
ハーブの香りが軽さを生む
ハーブの香りは、油の印象を弱め、爽やかさを与える。
結果として、料理全体が軽く感じられる。
屋台文化が「軽さ」を求めた
何度も食事をする生活リズム
タイでは、一日に複数回少量ずつ食べる習慣がある。
重い料理では、この生活リズムに合わない。
食べ歩きに適した味
屋台料理は、短時間で食べられる軽さが必要だった。
そのため油の重さを感じさせない味付けが発達した。
油は「旨味の媒介」として使われる
油そのものを楽しむ文化ではない
タイ料理では、油は味を引き出すために使われる。
料理の主役は、ハーブやスパイス、食材そのものである。
必要以上に油を残さない調理
炒め物でも油が皿に溜まることは少ない。
油はあくまで調理工程の一部として扱われる。
なぜタイ料理は油っこくなりにくいのか(まとめ)
タイ料理が油っこく感じにくい理由は、
- 暑さに適応した軽い味付け
- 強火短時間の調理法
- 酸味とハーブによる後味の調整
- 屋台文化に適した軽さ
- 油を主役にしない料理思想
といった要素が重なった結果である。
タイ料理は、油を避けているのではなく、油を重く感じさせない技術を発達させた料理文化なのである。
