インドでは「食べ物」が単なる栄養ではなく、宗教・魂・清浄観と深く結びついている。
そのため、日本では普通に食べられるものが、宗教的理由から“禁止”または“強く忌避”されることが多い。
本記事では、インドで食べてはいけないものを宗教別(ヒンドゥー教・イスラム教・ジャイナ教)に整理し、その理由を歴史と信仰の観点からわかりやすく解説する。
なぜインドでは「食のタブー」が多いのか
宗教と身体が直結する文化
インドでは「食べること=身体を作ること」であり、身体は魂の器と考えられる。
そのため、食べ物は 魂の純度を左右する宗教行為 として扱われ、厳格なルールが生まれた。
清浄(シュッダ)と不浄(アシュッダ)
ヒンドゥー文化では、
- 何を食べるか
- 誰が作ったか
- どう調理されたか
までが「清浄性」を左右する。
この思想が、細かな食の禁止事項を生んだ。
ヒンドゥー教徒が食べてはいけないもの
❌ 牛肉(最重要タブー)
牛は母なる存在・豊穣の象徴とされ、殺すこと自体が罪とされる。
多くの州では法的にも牛肉が禁止されている。
→ 冗談でも話題にしないのが無難。
⚠ 肉・魚(完全禁止ではない)
ヒンドゥー教では菜食が理想とされるが、実際には地域・カーストによって差が大きい。
ただし、
- 宗教行事の日
- 寺院周辺
では肉食は避けられる。
⚠ 卵(グレーゾーン)
卵は「生命の芽」を含むため、不浄と考える人も多い。
特に敬虔な家庭では避けられる。
イスラム教徒が食べてはいけないもの
❌ 豚肉
豚は不浄な動物とされ、完全に禁止。
これはインドに限らず、イスラム世界共通。
❌ ハラールでない肉
牛・鶏・羊でも、正しい方法で屠殺されていない肉はNG。
そのため、イスラム教徒は「ハラール表記」を非常に重視する。
❌ アルコール
厳密には食べ物ではないが、酒類は宗教的に禁止。
ジャイナ教徒が食べてはいけないもの(最も厳格)
❌ 肉・魚・卵(完全禁止)
ジャイナ教は「不殺生(アヒンサー)」を最重視するため、動物性食品はすべて禁止。
❌ 根菜類(玉ねぎ・にんにく・じゃがいも)
根を引き抜く行為が、
- 微生物の命を奪う
- 植物全体を殺す
と考えられるため。
❌ 夜間調理・保存食
夜は虫を誤って殺す可能性があるため、日没後の調理や作り置きも避けられる。
観光客が特に注意すべきポイント
同じ料理でも「誰向けか」で変わる
同じレストランでも、
- ヒンドゥー向け
- イスラム向け
- ジャイナ向け
で調理が分かれていることがある。
冗談や価値判断はNG
「なぜ食べないの?」
「少しくらいいいじゃない」
は、信仰の否定と受け取られかねない。
他国との比較でわかるインドの特殊性
多くの国では食の制限は個人選択だが、インドでは 宗教的アイデンティティそのもの。
「食べない」のではなく「食べられない」という理解が重要である。
まとめ
- インドの食の禁止は宗教と魂の問題である。
- 牛肉・豚肉・根菜など、宗教別に厳格なタブーが存在する。
- 尊重する姿勢があれば、文化的衝突は避けられる。

